50代早期退職者tudanumax の日記

50代で早期退職しようと考えた理由、心境など

哲学は何の役に立つのか No.2

 

 

以前のブログで「哲学は何の役に立つのか」という問いを検討したことがあった。

 

この問いは、色々な書籍でも触れられており、今日は、「教養としての哲学」(岡本裕一朗著・マイナビ新書)の記述から引用してまとめてみた。

 

まず前提として、哲学は、もともと何かの道具として形成された学問ではない。そして、「何かのため」という手段としての知識を獲得するのではなく、「何かのため」そのものを問うのが哲学であり、目的そのものを問うのだから、それが何かの役に立つことはない。例えば外国に行くために英語を勉強するというような意味で「役に立つ」という意味をとらえるなら、役に立たないということになるかもしれない。

 

また、哲学は昔から基礎学問として学ばれ、様々な学問の基礎付けを行う役割を果たしてきたが、18世紀から19世紀にかけて科学技術が飛躍的に発展し、それぞれの学問が精密化し、自立していくと、基礎付けすら関われないようになってきている。

 

それでは何のために哲学を学ぶのか?学ぶ意義があるのか?

 

1つは哲学の持つ視野の広さを挙げることができる。例えば、この社会、この世界は一体どの方向に向かっているのかを考えた場合、様々な学問が10年、20年単位で考えているところ、哲学は100年、あるいはひとつの時代といった、非常に長いスパンで考えることができる。

 

2つ目に、哲学は転換期に非常に活発になると言われており、それは哲学が時代の転換を感じ取ることができる学問であり、時代の転換や時代の方向性といったことを考える際の大きな道具になり得ると考えられる。

 

3つ目に、哲学には、一つの分野に限定されないという特徴がある。視野と立場を割に自由に転換できるので、特定の分野だけで考えても見えないものや、様々な分野ごとの関係性などを見ることが可能になる。かえって職業に直結する学問、例えば法律学では、その当時の法曹界の基本的な理論に楯突くような議論はしにくい。哲学が職業とは直結しないという意味において非常に自由であり、それが哲学の強みになっている。

 

 

 

 

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