昨日から苦闘の日々を送っている。
本格的な哲学書を1冊通読しようという私にとっては無謀な挑戦をしているからだ。
選んだ本は、ハンナ・アレントが書いた「人間の条件」という著作。
アレント(1906〜1975)は、現代の女性政治思想家で、ドイツのユダヤ人家庭に生まれ、ナチスの迫害を逃れフランス、さらにアメリカに亡命した。アメリカでは「全体主義の起源」という論文を発表して注目され、その後書いた著作が今回のテーマである「人間の条件」である。人間性を否定した全体主義の問題点を背景に、我々を人間とする条件を扱っている。
「人間の条件」は、文庫本1冊(ちくま学芸文庫)におさめられているが、小さな字でびっしりと埋められたページは約500ページになる。他の哲学書と同様に文章が難解で、1度読んだだけでは何を言いたいのかよく分からない。かなり集中して一文ずつ読んでいき、何行か進むとまた戻ることを繰り返している。
そのうち1時間もしないうちに疲れて眠くなってくる。嫌々読むのでは絶対に理解できないので、休憩をとり頭がスッキリした状態になってから再度読み始めるようにしている。
完璧な理解は困難なので、何となくこういうことが言いたいのかと想像しながら亀の歩みを続けている。早期退職して時間と気持ちに余裕がないと、このような難解な本を読むことはなかった。運命的な出会いだと思って、最後まで通読しようと思っている。