50代早期退職者tudanumax の日記

50代で早期退職しようと考えた理由、心境など

愛するということ

 

 

愛するとはどういうことか。

 

これが私が早期退職後に通っている大学の本日の哲学授業のテーマであり、答えなど出るはずもない難解な問いを突きつけられた。

 

 

今日の講義目標は、愛を哲学するという問題意識を高めることにあり、古代ギリシャ悲劇、神話、中世のキリスト教思想などにおける愛をテーマにした思想など幅広い話しを聞いた。個人的には、キリスト教の思想を背景にして、他者に働きかける技=artとしての愛を考えるフロムの見解が印象に残った。

 

社会心理学者のエーリッヒ・フロム(19001980)の「愛するということ(THE ART OF LOVING)」という著作には以下の記載がある。

 

「愛を得るには、隣人を愛することができなければならないし、真の謙虚さ、勇気、信念、規律を備えていなければならない。愛する能力を身につけるのは容易ではない。」

 

「愛は活動である。もし私が愛しているとしよう。私は彼あるいは彼女に限ることなく、愛する人に対し、絶えることのない積極的な関心を持っている状態にあるということになる」

 

フロムは、本のタイトルの通り、愛は自然発生的なものではなく、技術であり、習得の知識と努力が必要だという(男女交際のやり方の練習という話しはよく聞くが、愛の修練を積もうという発想はこれまでなかった。)

 

また、愛は能動的な活動であり、受動的な感情ではない。愛は何より与えることであり、もらうことではない。これはキリスト教思想が強く反映されている。

 

そして、愛の共通の要素の中に他者に対する尊敬があり、人を尊敬するにはその人に積極的な関心を持って知らなければならない。

 

人は愛によって生存の基盤となる人間関係を築いている。このようなフロムの思想は、個人や社会の分断が深刻化している現代社会において、人を愛することの意味をあらためて考えさせてくれるものだと思った。

 

 

今日の授業はまだイントロ部分で、来週から5回にわたり、様々な愛について哲学することになる。

 

 

 

 

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