今日は、早期退職後に聴講生として通っている大学の哲学の授業日だった。
今日から有名な哲学者であるカント(1724〜1804)に関する哲学の話しに入っていった。カントは、ドイツの哲学者で、理性に信頼を置く啓蒙思想の完成者として名高い人物であり、西洋哲学史では誰もが名前を上げる哲学者である。
カントは几帳面な人だったようで、生涯に渡って故郷プロセインのケーニヒスベルクの外に出ることはほとんどなく、毎日同じ時刻に同じ場所を散歩していた。そのようなカントを見て人々はケーニヒスベルクの時計と呼んでいたと伝えられている。
ところが、このカントが散歩に現れなくなったことがあった。その原因は、フランスの著名な啓蒙思想家ルソー(1712〜1778)の著作「エミール」を読みふけっていたためと言われている。
カントが自分の書物に書き付けていたことから、後に発見されたメモによる告白文も有名。そこでカントは自分自身について、学問的知識を増やしたいという欲求の持ち主であることを認め、さらに何も知らない一般大衆を軽蔑し、彼らに対して優越感を持っていたことを告白している。そして次のように書いている。
「ルソーが私を正道に戻してくれた。この優越の欺きは消え、私は人間を尊敬することを学ぶ」
この心の転回により、学者カントから哲学者カントが生まれた。
授業終了後は、いつも通り学食で昼食をとり、今日はカツとじ定食(490円)を注文した。