国際バカロレア(IB)教育という聞き慣れない教育制度がある。これは、国際的な教養を身に付けた人材を育てる為に世界共通に定められた教育制度で、世界中のIB認定校で教育を受けることができる。日本でも認定校が増えている。
2年間のコースでの学校の内部評価と世界共通で行われる最終試験の結果で一定の基準を満たすと認定資格(ディプロマ)を得ることができる。
そして、認定資格(ディプロマ)を取得すると、世界中の大学の入学資格を得ることができるので留学に強い資格といえる。
この最終試験の中には哲学的な問題に応える必要があり、その過去問を調べてみた。
2023
・幸福は理性の問題か
・平和を求めることは正義を求めることか
・芸術は私たちに何かを教えるか
2022
・芸術活動は世界を変えるか
・何が正しいかを決めるのは国家の役割か
・自由とは誰にも従わないことを意味するのか
・あらゆる手段を駆使して自己の権利を守ることは正しいか
2021
・私たちは未来に対して責任があるか
・無意識は全ての形の認識を免れるか
・議論することは暴力を放棄することか
・法に従わないことは不公平になるか
・科学技術は私たちを自然から解放するか
・知ることは何も信じないことか
一つを選んで4時間かけて解くらしいが、いずれも何を書いて良いか分からない難問。
なぜこのような教育や試験があるのか。
当然であるが、哲学の専門家を育てるためではない。哲学という道具を使って考える力、そしてそれを表現する力を育てるために必要とされている。
日本では、私の時代の授業や入試には当然なく、今の入試や高校の授業でも取り上げられることはないだろうと思う。正解のない問題を考える力をつけようとしている世界の教育制度との格差が心配になった。