以前のブログにも書いた小さな映画館で、気になっていた映画が上映されていたので妻と二人で見に行ってきた。
北アイルランドの男子校の小学校で行われている哲学教室を2年間記録撮影したドキュメンタリー映画。題名が哲学を勉強している者としては気になっていた。
街がカトリックとプロテスタントの対立が長く続いているという背景がある。暴力の連鎖で街は荒れており、生徒の中にも問題を抱えた者も多い。
特にショッキングだったのは、2000年の始め頃の対立が激しい時期に、カトリック系の女子の小学校に通う生徒らにプロテスタント系の住民が罵声を浴びせるなどし、生徒らが泣きながら父兄らに守られて登校する姿が映像で流されていた。
新たな憎しみの連鎖を生み出さないための方策の一つとして哲学の授業が行われている。異なる立場の意見にも耳を傾けること、不安や衝動をコントロールするにはどうしたらよいか考えることなどを生徒らは学び、失敗し、また成長していく。
しかし、そのような取り組みにもかかわらず、卒業した生徒が校長が把握しているだけでも20名自殺、ドラッグ、アルコール依存などが原因で亡くなっている。
決して万能ではないが、厳しい生活環境の中で身を守る武器として哲学の思想は生かされていると感じた。
個人的には作り話ではないドキュメンタリー映画の良さを実感できた作品だった。