これまで何度か早期退職して得た退職金の資産運用を銀行や証券会社に相談したことをブログに書いてきたが、これまで自分なりに理解したことをまとめてみた。
1 外貨で運用することのリスク分散機能
例えば200万円の資産(ドル換算2万ドル)を日本円だけで持っていると仮定する。一ドル100円の相場が将来200円になった場合(円安になった場合)日本円だけで持っていると、実質的に見て(ドル建で資産価値を見る)円資産が2万ドルから1万ドルに減少するリスクがある。
次に半分ずつ1万ドル(円換算100万円)と円100万円(ドル換算1万ドル)で持っていると仮定する。一ドル100円の相場が将来200円になった場合(円安になった場合)、円資産は半分の5000ドル相当になる反面、ドル資産は200万円相当に増加する。逆に一ドル100円の相場が50円になった場合(円高になった場合)ドル資産は50万円相当に半減するが、円資産は2万ドル相当に増加する。
このように両方の資産を持つことで為替がどちらに動いてもリスクを分配することができる。
なお、円資産だけの生活は、日本が生活必需品である食料やエネルギーの大半を輸入に頼っており、円安が進んだり、生活必需品の価格が上昇したりすると、実質円の価値が目減りすることになる。日常生活自体が為替リスクの影響を受けているという見方もできる。そうであれば、なおさら外貨運用でリスクを分散する意味が出てくる。
2 長期的な為替相場予想
外貨資産のリスクとして為替リスク(円高リスク)があることは否定できないが、長期的な展望として極端な円高は考えにくい。すなわち日本は巨額の財政赤字を抱え、少子化による人口減で将来の経済成長も多くは見込めず、貿易赤字も拡大している状況にあり、円には長期的に見て、通貨安要因が大きい。
3 富裕層の動き
日本の富裕層(100万米ドル以上の投資資産を保有)の外貨建資産保有率は2014年の26%から2017年には42%に上昇し、GRIF(年金資産運用機関)の投資比率も2013年の23%から2020年に50%に上昇している。
これに対し、2022年の個人の外貨資産保有率はわずか3%にとどまっている。
この差は資産運用に強い関心と情報をもっている富裕層者は、そのような情報を持たない、あるいは関心がない一般人を差し置いて着々と準備をして既に資産運用を見直しているという現実を示しているように思える。
4 まとめ
外貨運用は為替リスクや、為替売買手数料がかかるコストから敬遠されてきたように思うし、私もそのようなを読んだこともあり、これまで外貨資産運用をしたことはなかった。確かに退職金を全額外貨で運用するなどというのはリスクが大きいが、一部を外貨で運用(外貨預金、外貨建国債、社債、投資信託など)することは十分考慮してよい選択肢であるというのがこれまでの感想だ。同じ外貨でも政情不安な国の外貨は金利が高くてもリスクが大きいから対象外だが、安定した基軸通貨である米ドルでの運用は考えてみようと思っている。