50代早期退職者tudanumax の日記

50代で早期退職しようと考えた理由、心境など

感情のコントロールの仕方を哲学書から学ぶ

 

 

今日は、久しぶりに大学の図書館に行き、デカルトというフランスの哲学者(1596〜1650)に関する文献を読んでいた。

デカルトは、「我思う、故に我あり」で有名な哲学者であるが、それとは別に晩年に書かれた「情念論」という本がある。なおここにいう「情念」とは、精神がなんらかの外部の働きを受けた状態としての感情をいう。例えば、スーパーのレジの支払いのために並んでいたところ、ある人が横から割り込んできた時に腹を立てる感情のようなもの。

この情念の中には、生活する上で良くないものもある。うまく付き合っていかないと、先程の例で言うと、怒りの感情を抑えきれずに暴力行為に及ぶ人もいる。このような情念とどのように付き合っていけばよいか?

 

「我々の情念もまた、我々の意志の活動によって直接に引き起こしたり、取り去ったりできない。我々が持とうとする意志する情念には、習慣的に結びついていて我々が退けようとする情念には反対するところのものを思い浮かべることによって、間接にできるのである。」

 

例によって分かりにくい文章であるが、要は情念(怒り)を意志の作用により直接に取り除くことはできず、持ちたい情念(例えば相手を可哀想に思う)を思い浮かべることで間接的に取り除くという意味。デカルトの具体例は、恐怖という情念に対して、危険が大きくないとか、逃げるよりも防ぐ方が安全だとか、勝てば誇りと喜びが与えられるが逃げると心残りと恥しか残らないなど、得心させる理由、実例、対象を懸命に考えることによって間接的に恐怖の情念を取り除くというもの。

デカルトは、外部からの働きかけで時には嫌な感情を持つことがあっていいと述べている。むしろ激しい感情に対応する平静な精神の在り方などというのは絵空事だと批判している。その上で、感情の犠牲🟰奴隷にならないように、別の感情に繋がる理由、対象、実例を思い浮かべる訓練を積んで習慣化し、感情に対処することに慣れていけば情念に対処できるという。

 

感情をどのようにコントロールするかは、いつの時代においても人生を豊かにする上で重要な事柄だと思う。現代の生活においても生かすことのできる視点をデカルトは示している。

 

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