普段あまり小説を読むことがないのだが、「働かないの」という題名に惹かれて文庫本を購入した。
40代で有名広告代理店を早期退職した女性が主人公で、れんげ荘という古いアパートで、月10万円でのリタイア生活を描いたもの。
何をもって幸せだというかを考えさせられる物語だ。
人と比較して常に不安やいらだった気持ちで人生を生きる主人公の母に対し、れんげ荘の個性的で心豊かな人達に囲まれて、ささやかな幸せを求める主人公の生き方が対照的に描かれている。
「普通に暮らしていれば、嫌なことなどひとつもない。なのに他人と比較して気になる問題を作り出していたに過ぎない。」という一節は、思い当たる節がある。
4月以降のリタイア生活においては、誰かと比較して自分で疲れるのはやめよう。ささやかな幸せを大切に、平凡を生きていきたい。